時の果てのフェブラリー ―赤方偏移世界―
山本弘
徳間デュアル文庫
★★★★★
2016年2月の旅行先へ向かう新幹線内で読み始め読了した一冊。
面白いのはわかっていたのです。
初出のスニーカー文庫版(1990年)を現役で読んでいて、当時はライトノベルなんて言葉は無かったけど、それ系文庫は山ほど本でいて、そんな安易な作品ばかり読んでいた時に、ポンと飛び込んできた緻密なハードSFに充てられた気分だった。
ハードSFではあるけれど、ライトノベルレーベルで出されるぐらいに噛み砕いて解りやすく解説される科学事象は読みやすく、「本当のSF」の入門として完璧な立ち位置の本だと実感したのね。
それが、時を経て2001年。別の出版社から、加筆修正版が出た・・・のがこの本。
本屋で見つけて、おお!!!ってなって即購入したんだけれど…。
当時から、積読状態の本は読了本よりはるかに多く、順番的にはすでに一度読んでいる面白いことが分かっている本は後回しになっちゃうわけで・・・。
しかも、タイトルに「フェブラリー」なんて入っていると、折角なので2月に読もう!なんて考えてしまい、気付くと2月が過ぎ・・・なんてのを何年も積み重ねようやく2月に思い出して今年読破。
あ。
舞台設定が2013年だったのか…もっと早く気づいていれば、無理にでも3年前に読んだのに!
地球上に出現した謎の重力異常地帯スポット。
何かしらの意図をもって出現したと思われるが、何者のどんな意図で出現したのか全く不明。
事象を記号化することなく理解することができる少女が、その謎の存在の意図を探るためにスポットに潜入する。
重力がヘンテコリンになると、どんなことが起こるのか。
科学的根拠のある異常気象描写。
この異常地帯から空を見た場合、光線の具合などから何色に見えるのかなど。
ちゃんとした科学の描写が痺れる。
まぁいつものように内容は詳しく書かない。
読みやすいハードSFなんて、そうないからそれだけで素晴らしい一冊なんだ。
この加筆修正版から10年以上。
最初の本から20年以上が経っている。
スニーカー文庫版のあとがきの時点で、続編のタイトルが決まっていて、予告が成されていた、「宇宙の中心のウェンズデイ」がまだ出ていないのが悲しい未来。
まぁあれか、出版時代から十数年後を舞台にした作品を描くと仮定した場合。
主人公のウェンズデイが主人公年齢の12~13歳になる、今年辺り発表されるのかもしれない。
水曜日ならね、毎週来るから、買った後積んでおく期間も短くて済みそうなんだけどね。
☆好きな描写
少女の秘密を指で乱暴に探りはじめた。
☆三つ以上の良かった点☆
・読みやすいハードSF。
・ごめんなさい、パパ。私、悪い子だわ・・・・・・
・続編への期待。
☆猿山式キャッチコピー☆
克明に描く不思議描写。
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