2015年3月1日日曜日

誘う森

誘う森
吉永南央
創元推理文庫

 アマゾンがススメてくる「萩を揺らす雨」は、ピンとこなかった。
 古本屋を物色した時、なんとなく手に取りあらすじを読んで、ピンときた。
 これは面白そうだということで、この作者は「当たり」に違いないと、見当をつけ他に何かないかなと、手に取ったうちの一冊。
 気に入った「萩を揺らす雨」は、まだ読んでいないけど、何故かこちらを先に読んだ。
 特に理由はない。
 未読の本棚から、予備知識のない、面白いかどうかも分からない、未知の一冊を抜き出した感じ。
 読書家にありがちな事ではあるが、興味を持った本はとりあえず買っておき、積んである本から、今読みたい本を探す。

 妻の死を受け入れられないショックで不眠症に陥った主人公。
 会社の長期休暇制度を利用し、療養を兼ね、妻の死を見つめ直す。
 捜査モノ。
 調べていくと、おかしなことに気付く。
 そして、それをさらに調べていくと…。
 最初に見えていた姿から、どんどん形を変える、妻の死の真相。
 そんなタイプの長編ミステリ。

 「酒蔵の町」で町興しをすすめる小さな町。
 その老舗酒蔵である実家を手伝いながら、自殺の名所である森で自殺防止のボランティアをしていた妻。
 この町も、地図こそ載っていないものの、森があり町があり、そこは地元の人にどのように呼ばれているか…など、細かな設定が作られ、しっかり伝えられ、安心出来る。
 細かな地理の把握は、完璧に頭に入れなくても、困らないので、そういう設定を覚えながら読むのが苦手な人でも大丈夫。

 全編通して、暗い雰囲気を持つ小説。
 暗いけど、中学生みたいな視点で語ると、色っぽいシーンあり。
 不自然に思える部分もあるにはあった・・・けど、作品の中にいろいろ取材した跡がうかがえるので、この「不自然」はわたしの認識が足りないせいで、実際にもあった事柄なのでしょう。

 普通に面白かった。
 特別膝を打って喜んじゃうほどではないけど、イラッと来るほど悪くも無い。
 推理小説を読み始めたころに出会っていれば、おお!と唸って膝を打っていたかもしれない。
 そんな、スタンダードに面白かった一冊。

 内容についてほとんど語っていないけど、ちゃんとしたミステリであればある程、何を書いてもネタバレにつながるので、何も書けない。
 捜査モノ

ISBN978-4-488-42211-0
 

 

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