2018年8月1日水曜日

2018年7月の読書メーター ~夏のゾンビは まやかし~

 月初め恒例てぬぃっき。
 読書メーター編。

 先月から引き続き、ゾンビ物強化月間。
 ゾンビは映画やゲームは多いけれど、小説ってあまりないよなぁ。
 ・・・と、いう感想から、実際探してみたら結構あった感じ。
 ただ、まぁやっぱり理屈をこねなければ成立しない小説の世界でのゾンビは、なかなかオリジナリティが厳しい気もしなくもない。
 映画とかなら、取りあえずゾンビっぽいのがゾンビっぽく動けばゾンビ物だガハハハハハ・・・ってノリだけで作られているものも多い(っていうかゾンビ作品の殆どがこれ)。
 小説の場合、それやると物語の帳尻が合わせられなくなっちゃうから厳しいと思うのよ。
 で。ちゃんと考えるとなると、なかなか理屈を合わせにくかったり、どっかで見たような設定にならざる得なくなっちゃったり。
 こう、映画との比較で読むのも面白い。
 小説のゾンビ物の主人公は、ゾンビ作品に造詣が深く、対ゾンビ戦闘に於いてゾンビ映画ファンが抱えている疑問を全部ぶつけてくれるのが嬉しい。
 もうね、今更、考えなしに突っ込んでいって噛まれてムキーとか言っても白けるだけだしね。
 そんな感じでもあるので、ゾンビ小説を真に楽しむには、ゾンビ映画を多少なりとも齧っておいた方がより楽しめるわけで。
 ゾンビ映画を観るよりも、若干敷居が高いのかなと思わないでもない。

2018年7月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:4615ページ
ナイス数:57ナイス

https://bookmeter.com/users/682213/summary/monthly
■ナウ・ローディング (光文社文庫)
 「インサート・コイン(ズ)」の続編ではあるが、特に前作を強く引っ張る要素もないし、ゲームをテーマにしてはいるが、その切り口も全く別の角度から捉えているので、この本から読んでも特に問題はなさそう。
 …ではあるが、著者の別の作品(「遠海事件」)は読んでおいたほうがよかったようだ。
 前作よりゲームの世界に何十歩も踏み込んだゲーム&ゲーマーの世界を描くミステリ。
 勿論、競馬の知識がなくても競馬ミステリが楽しめるように、ゲームの素養がなくても楽しめる構成にはなっている。
 本当の意味でゲーマーを描いた作品。
読了日:07月01日 著者:詠坂 雄二
https://bookmeter.com/books/11462790

■超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 7 (GA文庫)
 CDドラマ版付きのもあるようだけれど、アニメイトで見当たらなかったので通常版を選択したんだけど、あとがきによると著者自ら脚本を書いた新作とのことで、ダブってでも買うべきか悩み中。
 7巻なので基本構造は割愛。
 ヤマト編がまとまる。
 超人高校生+レジスタンスと帝国+ヤマトの戦争編とでも言えようか。
 拠点を離れ、チート能力の活かしきれない僻地での立ち回りに、超人高校生たちの活躍が映える。
 活躍の機会のない超人もいるけれど。
 一つの大きな映画を見ているような、戦争ドラマが泣かせます。
 
読了日:07月02日 著者:海空 りく
https://bookmeter.com/books/12859832

■オブザデッド・マニアックス (ガガガ文庫)
 ゾンビ物のライトノベルの傑作という情報を得て購読。
 スクールカースト下層から見た学園生活をゾンビ物に見立て、そこから実際にゾンビ溢れる世界へと移行する。
 ゾンビ映画やゾンビゲームなど様々なゾンビ作品を巧みに取り入れ消化してマッチさせていく辺りにニヤリ。
 ゾンビ好きだけど、大作を外して鑑賞しているわたしは、みていない作品のモチーフも少なくないが楽しめたのでゾンビ初心者も安心。
 …だけど「ドーン・オブ・ザ・デッド(ゾンビ)」は事前に観ておいた方がより楽しめるのでおススメしておく。
 傑作ゾンビ小説。
読了日:07月06日 著者:大樹 連司
https://bookmeter.com/books/3244074

■夢・出逢い・魔性 (講談社文庫)
 この作品が本来の1作目ではないかと思うほど、スタンダードに展開する本格ミステリ。
 このシリーズに入って変化球が多かったので、逆に穿った読み方をしてしまった部分もなくもない。
 東京のテレビ局で起こった殺人事件に巻き込まれた一行が、事件を解決する流れ。
 基本的に、このシリーズは(少なくともここまでは)事件を解決した後に保呂草が書いているテイになっているはずだが…。
 紫子ちゃんの保呂草への淡い気持ちなども、保呂草が汲んで記述しているのかと思うと、なんとも面白い…ということに、ようやく気付いた。
読了日:07月10日 著者:森 博嗣
https://bookmeter.com/books/566926

■KB部 (MF文庫J)
 著者の他の著作は未読。
 帯の「4コマ小説」という部分に興味を持ち購読。
 4ページで区切られた疑似掌編。
 4コマと掲げているが特に「起承転結」も意識した様子もないし、ショートショート的なオチも用意されない。
 まぁ本家4コマ漫画の方も、オチの無い日常4コマも人気があり、そこからの借用と解釈すべきか。
 会話だらけの疑似コント風でもあったり、マンガによくあるキャラクターを別の物語にアレンジする展開など、実験的な挑戦も多く収録。
 しかし、主人公は、自分を愛でる作品をよく書いたなと思う。
 テンポよし。
読了日:07月10日 著者:新木 伸
https://bookmeter.com/books/12891325

■ゲームの話をしよう (ファミ通Books)
 再読。
 ファミ通編集者が、いろんな人とゲームの話をするだけの本。
 有名クリエイターから、編集者仲間から、ゲーム好きな女性、ゲーム好き彼氏と特にゲーム好きというほどではない彼女、ふつうの小学生・・・などなど。
 ほんとにゲームの話題というキーワードだけで、雑談して、それをまとめただけの本。
 ゲーム好きなら、もう自分もその雑談に混ざった気分で、自分なりのゲームについて考えていることを整理しながら、内容の数倍の読後感を得られる究極のスタイル。
 小学生の話が好き。
 単行本特典で糸井重里との雑談あり。
読了日:07月11日 著者:永田 泰大
https://bookmeter.com/books/436708

■レヴォリューション No.3 (角川文庫)
 わたし的ゾンビ作品月間の変わり種として読了。
 脳死者の血圧値程度の偏差値の高校に通う殺しても死にそうにないやつらがゾンビーズ。
 男子校のおバカ男子がバカに徹してバカをする青春小説。
 ミステリ風な事件も起こらないでもないが、クレバーな展開は一切なく潔いほどバカ一本。
 確かに後味は悪くないけれど、ミステリ好きとしては、推理して作戦を立てて、トラブルを挟みつつ解決するような作品が好きなので、ちょっと残念に感じた。
 まぁゾンビーズだからこれでいいんだろうけど。
 続巻も読み進めるかは迷う。
読了日:07月15日 著者:金城 一紀
https://bookmeter.com/books/572235

■“探し屋”クロニクル 7/7のイチロと星喰いゾンビーズ (ガガガ文庫)
 役割を背負った多重な人格たちが脳内で立ち回る様は「脳内ポイズンベリー」を彷彿させるが、こちらの方が数年早く発表されているのね。
 多分、そこそこ面白い設定に面白い話なんだろうと思うけれど、構成が分かりにくくて飲み込みがたく感じた。
 活かしきれていない設定も散見され混乱を煽る。
 女生徒の自殺とその友人たちの失踪を、多重人格者と警察と怪異を狩る集団みたいのが追う作品。
 わたし的に先月今月はゾンビ作品月間としていて、ゾンビ物の変わり種っぽい作品として読了。
 まぁゾンビっちゃゾンビかもしれないが・・・。
読了日:07月15日 著者:羽谷 ユウスケ
https://bookmeter.com/books/2331

■カンナ 出雲の顕在 (講談社文庫)
 次巻完結の8巻故基本設定は割愛。
 QEDにしろカンナにしろ、殺人事件の謎も気になるけれど、できれば歴史の謎を解いてくれ!と常々思ってしまっていたのだけれど、物語も全編を通じて大詰めに迫り、殺人事件抜きで本編の謎を引っ張りつつ歴史の謎を探る流れがちょっと嬉しい。
 や。完結しちゃうのは寂しいんだけどね。
 出雲大社と素戔嗚尊周りの謎をあげつらって、その謎たちが納得のいく姿になるまでを考える歴史ミステリ。
 シリーズ全体の流れも大きく固まり、正に怒涛のクライマックス。
 今日との最終決戦に期待。
読了日:07月21日 著者:高田 崇史
https://bookmeter.com/books/8223500

■勇者のセガレ3 (電撃文庫)
 や。ものすごく面白かったんだけどね。
 例えば「はたらく魔王さま!」が完結した後にこちらが出たら、また魔王さまテイストの面白い作品が読めるぞ!って純粋に楽しめたと思うんだけど…。
 「庶民派+異界戦争」と微妙にかぶったテーマの話が並行して語られるなら、先に「魔王さま」進めて欲しいという気持ちの方が勝ってしまう。
 受験勉強に沿う形で異世界を理解して順応していく流れは凄く好きなんだけどね。
 主人公たちも周りも、考えて行動しているのも心地よい。
 アニメイトで買ったらリーフレット小説もおまけで付いてきた。
読了日:07月24日 著者:和ヶ原 聡司
https://bookmeter.com/books/12932100

■出張料亭おりおり堂1 (中公文庫)
 今月はゾンビ月間だった故変わり種ゾンビ小説として読了。
 婚活の為、個を殺し周囲と同じ無個性を演出する様をゾンビに例えたモノ。
 特にタイトルにする程ゾンビを引っ張っているわけでもなかった。
 イケメン出張料理人が旨い飯を作る系。
 イケメン料理人の助手として妄想する系。
 よくある2系統をそのまま足してしまった感じ。
 出張先の家庭の問題や謎を解決したりなドラマが展開される。
 4月からひと月1話の短編で4ヶ月ずつ3巻で完結らしい。
 この手の話も嫌いじゃないけど、特に斬新さもないので2巻以降は未定。
読了日:07月27日 著者:安田 依央
https://bookmeter.com/books/12302562

■不死者と暗殺者のデスゲーム製作活動 (電撃文庫)
 序盤設定を伏せて引っ張る試みがなされているようだが、タイトルでネタばれしているのは編集サイドがタイトルを付け替えた感じなのかな。
 異能モノ。
 不死者と殺人衝動が抑えられない暗殺者の物語。
 この設定から、試行錯誤の末に安寧の平和へ至る物語を期待し、実際そんな流れには至るのだけれど…。
 期待したほど、スパッと解決する流れに至らなかったかなぁという印象。
 個々の流れや展開は、いい意味で読者を裏切り面白く回るんだけれど、肝の部分に何故?という疑問が残ってしまう感じ。
 なんか勿体ないモチーフ。
読了日:07月28日 著者:麻宮 楓
https://bookmeter.com/books/12932103

■カード・ウォッチャー (ハルキ文庫 い 18-1)
 ど社会派のテーマをど本格で料理した快作。
 ややもするとコメディとも解釈できそうなほどのシチュエーションではあるが、死体が転がっている以上笑えない場面で、隠し通すミステリ。
 労災・サービス残業・会社の体質・・・といった社会派の小道具を、丁寧にパズルのように組み立てて、無駄なく配置された事象を矛盾を手掛かりに真実へ再構築していく。
 タイトルから、どんなカードを見る作品なんだろうと思っていたんだけど、タイム・カードなどを念入りに調べる調査者を指すスラングだったようだ。
 カードゲームの話かなと思ってた。
読了日:07月31日 著者:石持 浅海
https://bookmeter.com/books/8195142

■たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語5 (GA文庫)
 たとえば序盤の街で暮らす豪傑たちがラストダンジョン前の村の日常を垣間見る物語。
 シリーズとしての構成が合致と固まった巻。
 ここまで話の骨格を語ってしまって、この後どうビックリさせてくれるのか不安になるぐらい、設定が開陳されちゃったけど、多分この振りが大きく効いてくる展開がこの後待っていることでしょう。
 いつものメンバーが、伝説の地コンロンを訪れる話。
 伏線をこれでもかと散らせて、見事回収するいつもの構成は健在。
 読者も作風に慣れ始めちゃっているから、読者の期待をいい意味で裏切るのも大変そう。
読了日:07月31日 著者:サトウとシオ
https://bookmeter.com/books/12923922

■浜村渚の計算ノート 8と1/2さつめ つるかめ家の一族 (講談社文庫)
 8と1/2冊目(10冊目かな)故基本構造は割愛。
 時々ネットニュースで炎上する「さんすう」問題。
 小学生の算数のテストを見ると、正しい計算をして正しい答えを示しているのに不正解になっている。
 やい学校!採点ミスだぞ!と申告すると「まだ習っていない方法で計算すると正解にならない」という回答になるらしい。
 まぁそんな現状を掘り下げていった「方程式を使ってはならない(まだ習っていないから)」という話(?)。
 今回渚ちゃんの解説の描写が少なく、色々な算法が出てきたけれどどれもピンとこなかったのが残念。
読了日:07月31日 著者:青柳 碧人
https://bookmeter.com/books/12955000


▼読書メーター
https://bookmeter.com/


 例によって、強化月間用に買ったゾンビ小説が沢山余ってしまったので、来年繰り越し。
 そして来年までにもまた増えるから、そこでも読み切れないスパイラル。
 「レヴォリューション」「婚活ゾンビ」的な変わり種も発掘していきたいしね。

 8月は去年の残りの「ひまわり」月間の予定。
 …だが、去年と今年は本を読むルールを若干変更しているし、新刊は新刊のうちに読みたいけれど、ここのところ好きなシリーズの新刊がどっと出たので、どこまで追いつけるか。
 や。まぁそれら全部読んでさらにひまわり読めばいいだけの話でもあるけれど。
 問題は、「ひまわり」ものでわたしの好きなタイプの本がほとんどない事なんだ!
 ・・・ナラヨマナキャイイノニ・・・ト・・・ショウジキワタシモオモフ・・・

 夏はなぁ、夏休みで平日でもどこも混みそうで、旅を控えると読書時間も減る寸法なのよね。

0 件のコメント:

コメントを投稿