2018年5月2日水曜日

2018年4月の読書メーター ~春の日に 車窓(まど)より 読書(だんご)な旅をする~

 月初め恒例てぬぃっき。
 読書メーター編。

 今月は、駅メモのイベントもあり、電車旅を何回か&大規模電車移動があり、車中で数を稼げた。
 7時間乗りっぱなしとかやったからね。
 それだけじゃなく、乗り継ぎがスムーズだったんで、10時ぐらいから22時ぐらいまで、ほとんど電車の中で過ごした感じかな。
 翌日は帰りで、行きほどタイトじゃなかったけれど、ずっと移動してたし。
 折角、電車旅行しているのに、車窓の景色をほとんど見てないのも勿体ない気がしなくもないけれど、ね。

2018年4月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:5074ページ
ナイス数:59ナイス

https://bookmeter.com/users/682213/summary/monthly
■白い花の舞い散る時間 (コバルト文庫)
 春に春の小説を読もうと創元文庫の「春待ちの~」を読もうとして、コバルトに前作に当たる小説があるらしいってんで、遡って読んだ一冊。
 夏の話。
 続編が創元推理文庫から出るぐらいのクオリティがあるのだろうと勝手に期待して読む。
 塾生専用サイトで知り合った女子高生たちが、オフ会をするだけの話。
 お互いハンドルネームも内緒にしましょうと言うルールの下集まった少女たち。
 普通に過ごすだけの物語ながら、会話の伏線が最後に一気に収束する流れ。
 ベテラン作家が練りに練りあげたらもっと良くなったって印象でした。
読了日:04月03日 著者:友桐 夏
https://bookmeter.com/books/553667

■春待ちの姫君たち―リリカル・ミステリー (コバルト文庫)
 シリーズものということで、先に「白い花~」を読んだんだけど、特別続編ということもなさそうな話だった。
 スクールカーストの濃厚な「いじめ」と一言で片づけられない「女の子たち特有の世界」を舞台にした、人間ドラマ…をベースにひたすら語られた物語が、最後に種明かしされる。
 丁寧な描写でもある故、ミステリマニアなら、大まかな構造はだいたいすぐに見当ついちゃう感じではあるけれど、コバルト読者には新鮮だったかも。
 ついでに創元推理文庫版も購入済みなので、次読む予定。
読了日:04月04日 著者:友桐 夏
https://bookmeter.com/books/491761

■春待ちの姫君たち (創元推理文庫)
 コバルト文庫版からの連続読了。
 単純に読み比べる形になったので、改善点がものすごくよく分かった。
 これぞ「推敲」という感じで、コバルト文庫版で分かりにくかった場面は整理され、新たな会話やシーンで読者の理解を助ける。
 女子高を舞台にして、スクールカーストに女性特有の派閥やら何やらを絡めた、ドロドロ女の世界で巻き起こる、この世代特有の世界の物語。
 いじめと人間関係の際どい境界らへん。

 仕掛けそのものは、実はわたしも似たトリックを温めていたこともあり、すぐに見抜けてしまった。
 
読了日:04月08日 著者:友桐 夏
https://bookmeter.com/books/7913825

■だからオカズは選べない (講談社ラノベ文庫)
 こんな表紙でもあるわけで、ひょっとしたら「夜」の方のおかずなのかしらとあらぬ期待をかすかに持ちながら読んだわけだけど、それなりに健全。
 『料理』の魂を持つ生徒たちが通う学園を舞台に、料理にちなんだ生活でドタバタするコメディ。
 男子生徒は主食系料理の魂。
 女子生徒はオカズ系料理の魂。
 食べ合わせの相性がいいと対人の相性もいい。
 食べ合わせの相性が悪いと、対人関係も悪くなる。
 そんな設定の中、どんなおかずとも相性のいい「白いご飯」の魂の主人公が最高のオカズ女子を選べずにいる物語。
 そんな話。
読了日:04月10日 著者:天秤☆矢口
https://bookmeter.com/books/12770492

■黒猫の三角 (講談社文庫)
 森博嗣の講談社文庫を刊行順に読んでいって辿り着いた新シリーズ。
 犯人は勿論ではあるが、誰がこのシリーズの探偵役なのかも考えながらの読書は、より楽しいものになった。
 ある法則をもって連続殺人が起こり、職業探偵が乗り出す流れ。
 この著者は華麗なミステリを書くと信頼しているから、最後まで楽しく読めたけれど、最初にこの作品を手に取っていたら、退屈な部分もあったかもしれない。
 作中に出てきた四文字熟語を検索してみても、この作品絡みしかヒットしなかったので、著者の(若しくは作中人物の)造語だったのかな。
読了日:04月13日 著者:森 博嗣
https://bookmeter.com/books/566915

■Zの時間 (HJ文庫)
 B級映画なんかでこのタイトルだとゾンビ絡みだよなぁと興味を持ち手に取ってみたら、はたしてゾンビものだった。
 ゾンビ小説はあまり多くないので嬉しい。
 引きこもりFPSゲーマーが引きこもっているうちに世の中ゾンビであふれていた世界。
 古今東西のゾンビ作品に精通したゾンビ知識豊富な女子高生をヒロインにサバイバルの時間を送る。
 ゾンビ物の「定番」を押さえ「定番」をゾンビマニアの機転でクリアしていく流れ。
 コメディにもホラーにも徹していないのに、ゾンビ作品として成立している絶妙な塩梅が最高。
 未完。
読了日:04月15日 著者:榊 一郎
https://bookmeter.com/books/12766278

■王立遊び人学校の優等生 最高の遊び人ってのはモンスターに好かれちまうんだ (ファンタジア文庫)
 ヒロイックファンタジーに全くそぐわない職業なのに、誰も違和感を持たずに受け入れられる土壌が整っている。
 『遊び人』
 ドラクエってすごい。
 魔王が復活の兆しを見せ必要に迫られて魔王を討つ冒険者の学校が興る。
 ある一つの社会的欠点から、冒険者から最も遠い位置にいる主人公。
 当然のように冒険者学校の入試に悉く落ちていた。
 ただその欠点が逆に武器になり最高の適正で合格してしまったのが「遊び人」学校だった。
 規格外の化け物レベルの英雄候補生たちをも軽くしのぐ主人公の適正に巻き起こる勘違い系コメディ。
読了日:04月17日 著者:大楽 絢太
https://bookmeter.com/books/12689001

■真実の10メートル手前 (創元推理文庫)
 ジャーナリストが記者ならではの観察眼で違和感に気付き、ちょっとしたわなを仕掛けて真相へ至る流れの短編集。
 「さよなら妖精」の大刀洗が大人になり探偵役として登場するが、流れを汲んだ話は一つしかないのでこの本から読んでも話は通じるが、いずれどちらも読む予定があるのなら「さよなら妖精」から読むことを推す。
 探偵視点は描かれず、その事件を語るのは常に一緒に事件に絡む相方というのも面白い構図。
 これにより、探偵の考えが、会話と行動でしかわからず、名探偵のそばにいる人の驚きをより共感できる。
読了日:04月18日 著者:米澤 穂信
https://bookmeter.com/books/12656053

■駅弁しっぽり旅 (双葉文庫)
 電車旅のお供に車中にて読了。
 奇しくも作中の主人公も、電車内で官能小説を嗜む趣味を持っているとか。
 タイトルから期待する通り、駅弁と旅先での情事を描く。
 官能小説にしては濡れ場が少ない気もするが、旅と駅弁の話題を巧みに情事に絡めてくるのはベテランの巧み。
 官能小説であり、特に挿絵とかないから平気ではあるけれど、車内に学生さんの集団が乗り込んできたときは、ちょっとカバンにしまった。
 小説の通り官能小説を読み駅弁も食べつつの旅をしたけれど、小説の様なおいしい出会いは無かったなぁ・・・。
読了日:04月18日 著者:橘 真児
https://bookmeter.com/books/11162030

■童貞を殺す異世界 (ダッシュエックス文庫)
 モンスターと対抗するために強力な力を手に入れた男たちは、モンスターのボスを封印することで全滅。
 特殊な魔法により種を維持してきた女しかいない世界に、ひょっこり召喚された成人童貞。
 男であることから、最強の恩恵を受けつつモンスターと対峙する流れ。
 考えることをしない主人公。
 全く詰められていない世界観。
 レーベル的制約もあろうが、特別エッチな展開も希薄で、何が言いたいのやら。
 テーマも普通。
 最強の条件が「童貞」とかなら、濡れ場の無いハーレム状態も機能しただろうけどね。
読了日:04月18日 著者:須崎 正太郎
https://bookmeter.com/books/12679253

■童貞を殺す大魔王! 例のセーターを着たサキュバス姫 (美少女文庫)
 ライトノベル系官能小説。
 30歳の誕生日を童貞のまま迎えた主人公が異界へ召される。
 サキュバスの支配する魔界。
 童貞を奪うとサキュバスの魔力は高まり、奪われた男は死ぬ。
 30歳以上童貞というレア童貞は、得られる魔力もけた違いであり、それゆえに召喚されたわけね。
 サキュバス女王の趣味により、幼い姿に変身させられ、行為をしたら死ぬので行為をさせてもらえないまま行為以外の凌辱に耐え続ける主人公。
 ぶっちゃけ美少年を性的にいじめるのがメインの話であり、どちらかというと女性向けな内容な気がする。
読了日:04月18日 著者:伊藤 ヒロ
https://bookmeter.com/books/12070686

■QED 伊勢の曙光 (講談社文庫)
 帯に「完結」と書いてあるから完結らしい。
 特に名犯人を追いかけていたわけでもなく、何をもって完結なのかよくわからなかったけれど、いつも通り歴史と事件の謎をいっぺんに解いた流れ。
 「伊勢神宮」周りの謎を山ほど提示して、そのすべての謎をピタッとしっくりくる形に整える流れは巧み。
 完結と言いつつ「この話は別の機会に」なんてセリフも沢山あった気がする。
 外伝的に語るのか、直系の別シリーズに流れるのか。
 講談社文庫を刊行順に読んでいるんだけど、他の出版社の「毒草師」も先に読んでおくべきだったかしら。
 
読了日:04月19日 著者:高田 崇史
https://bookmeter.com/books/7856959

■エートスの窓から見上げる空 老人と女子高生 (ファミ通文庫)
 女子高のスクールカースト底辺ぼっち少女が主人公の学園系日常の謎派ミステリ。
 何でもないこともなんでるあることも、ひたすら考える作品で実に心地いい。
 主人公と老教師が、休み時間の秘密の隠れ場で、何気に語る会話。
 教師は教師らしく、少女に考えることを自然と促し、少女はそれを受けて考える。
 日常の謎にありがちの「推論」的な部分にダメ出しをしながら、真相に至る考えを巡らせる辺りに、ミステリへのアンチテーゼ的な雰囲気も漂わせているのかもしれない。
 ミステリとして不完全でもこの作品はこれがいいんだと思う。
読了日:04月21日 著者:かめのまぶた
https://bookmeter.com/books/12636879

■クズと天使の二周目生活 (ガガガ文庫)
 この本の2巻を見かけタイムリープものは好きなジャンルなので、1巻を探して購入。
 ダメ人間主人公が天使の手違いで死亡してしまい、交渉の末十年遡っての人生を手に入れる。
 真正なポンコツ主人公。
 「たらればノート」。
 大きく歴史を動かそうとすると、補正がかかり戻されてしまうなどの、ルールを設けたタイムリープで独自性を出している。
 制約を設けて身動きを取りにくくしつつ、監視役の天使の手助けがアリだったり、細かい所でバランスを取った、絶妙な作品。
 ラジオ制作の裏側も垣間見れるのも興味深い。
読了日:04月27日 著者:天津 向
https://bookmeter.com/books/12308599

■ガーディアン (光文社文庫)
 乱暴に説明するなら「ジョジョの奇妙な冒険」の幽波紋(スタンド)を用いたミステリ。
 自分の意志と無関係に条件を満たすと自動的に発動してしまう、自分を守る守護者。
 そのガーディアンが存在することを前提とした物語。
 ガーディアンのルールがしっかり読者に提示されているので、ミステリとして十分機能する。
 わたしは、こんな場合はどう発動するんだろうとか、いろいろなケースを考えてしまった。
 まだまだ色んなシチュエーションが考えられる設定。
 あまり続編を書かない作家さんだけど、もっとこの設定で読みたい。
読了日:04月30日 著者:石持 浅海
https://bookmeter.com/books/528749

■ぼくたちのリメイク4 「いってらっしゃい」 (MF文庫J)
 ここへ来てこの作品が「タイムリープもの」ジャンルに対するアンチテーゼとして機能し始めたのが見所か。
 過去へ過去へ遡るタイムリープものの中で、未来への移動を持ってきて、テーマに深みを与える。
 次巻以降、普通のタイムリープものより、何歩も踏み込んだ、濃厚な人生の歩みが語られることになるわけで。
 舞台が、過去から現在へ戻ったことにより、タイムリープの優位性が無くなった世界でもあるけれど、そこでも活躍できるということで、有利な世界だから無双していたわけじゃないというテーマも。
 ゲーム業界物としても。
 
読了日:04月30日 著者:木緒 なち
https://bookmeter.com/books/12761420


▼読書メーター
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 開幕の3冊は「春に試してみたかった3コンボ」作品。
 他社レーベルから創元推理文庫に移ったとなれば、ある程度面白いことは間違いないだろうし。
 コバルトの2巻から移籍ってのが、不思議だと思っていたのよね。
 シリーズではあるけれど、作中人物を引きずってのシリーズでもない感じではあるんだけど、3冊目から先に1巻の設定も匂わせてきているらしいという噂もあるようだ。
 謎。
 面白くはあったけれど、わたしのツボとは少しごにょごにょだったので、3巻以降は多分読まないかな。

 今月は普通に、面白いものあり、そうでもないものもアリ。
 面白くなかったものは、どのあたりが面白くなかったかをちゃんと書くように心がけてはいる。
 基本的に、主人公が考えない作品や、作者が考えない作品が、評価を下げている感じ。
 
 4月読んだ中で一番気に入ったのが「エートスの窓から見上げる空」。
 この作品は、なんでもかんでもずっと「考えている」作品で、実に心地よい。
 日常の謎系ではあるけれど、日常の謎系にありがちな「推測」の域を出ない謎解きに、ダメ出しをしつつ…まぁ「推測」謎解きを披露する。
 答えはあっていても、途中式が乱暴だといけない。
 そんな作品。
 他の人の感想にもあったけど、ファミ通文庫から出ているのが謎。

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