2018年7月1日日曜日

2018年6月の読書メーター ~死霊の安房踊り~

 月初め恒例てぬぃっき。
 読書メーター編。

 映画枠の方で毎年6月は【猿山村ゾンビ祭り】を開催している。
 ライトノベルの新刊枠で、ゾンビ物を見つけ読了。
 小説でゾンビ物って少ないんだよなぁなんて思いつつ、その本の感想を追うと、ゾンビ系ライトノベルで面白いものが紹介されていた。
 あれ?少ないというほど少なくないのかな?
 ・・・と、その紹介されていたものも含め、「ゾンビ」とか「オブ・ザ・デッド」辺りの言葉で検索してみると、そこそこヒットする。
 ただまぁ、映画業界に占めるゾンビ映画の割合に比べれば、やっぱり多くは無いけれど、少なくて珍しいというほどレアでもないのね。
 ・・・と、カイアサッテシマウワルイクセガ・・・
 や。今回は、そんなに多くは買ってないわよ。
 10冊未満に抑えたつもり。
 ホラー文庫とかに手を出し始めると、際限なくなるかもしれない。
 ただ、多分ホラー文庫のゾンビ物はハズレを覚悟する必要がありそうかな…。


2018年6月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3975ページ
ナイス数:61ナイス

https://bookmeter.com/users/682213/summary/monthly
■月は幽咽のデバイス (講談社文庫)
 ミステリ版「三匹が斬る!」かしら。
 一つの事件に複数の探偵役が挑む流れ。
 ただ役割を分担するでもなく、情報は共有しつつ各々勝手に調べて、勝手に真相に辿り着く流れなシリーズなのかな。
 勇者ばかりのパーティのRPGな感じか。
 全編にわたる表現や考え方など、森博嗣節も冴え心地よくはあるが、ミステリの楽しさがはじけない感覚。
 メイントリックが分かれば解説しなくてもいい謎は放置するスタイルも嫌いじゃない。
 ・・・けど…。
 新人作家の作品の様な構成を、ベテラン作家が採っているちぐはぐさが、もどかしい。
読了日:06月06日 著者:森 博嗣
https://bookmeter.com/books/566923

■無病息災な異世界ライフ ~研修医は現代医学でゆるっと治す~ (ダッシュエックス文庫)
 あとがきに拠ると、今までにないライトノベルのテーマとして「医療」を採用したらしいけれど…異界に現代医療を持ち込んだ作品は割とあるのよね。
 短編にしては短く、掌編にしては長い分量で、細かくテンポよく進むほぼタイトル通りの作品。
 異能と組み合わせて、異界の住民を治療しつつ元の世界への道を探る話。
 ちょっとご都合っぽい部分もありはする。
 家庭の医学を掘り下げた感じで、伏線は張られた時点でオチの見当がつく感じ。
 高校生が頑張って調べて書き上げたような印象。
 それが悪いっていうんじゃないけどね。
読了日:06月07日 著者:大保志 雄二
https://bookmeter.com/books/12505657

■天才詐欺師・夏目恭輔の善行日和 (宝島社文庫)
 詐欺師モノはある程度面白さが約束されているジャンルなので贅沢な話+αがどこまでビックリさせてくれるかが期待値になってしまうんだよね。
 普通に詐欺師モノとして面白かった作品。
 内容を強調しすぎなタイトルは、多分編集サイドが付けたんじゃないかなと推測。
 悪人を騙し、騙されたと気付かせないように金を出させる系。
 相手が悪人だから金額も大きく規模も大きくなる。
 今後、大物悪玉と、腹を探り合い大規模な展開も期待。
 似た構成の詐欺物映画観たことあるのよね、映画を超えるような驚きを期待。
 
 
読了日:06月10日 著者:里見 蘭
https://bookmeter.com/books/12759837

■だからオカズは選べない2 (講談社ラノベ文庫)
 料理の魂を持った高校生の通う学校を舞台にした言わば潜在異能作とでも呼ぼうか。
 自分に宿った料理の特性や相性に縛られる厄介な環境での学校生活コメディの第2弾。
 前巻割といい感じに完食したので、続編はあるのかなと思ったけれど、いい感じに登場した。
 ベースの設定がしっかりしていて面白いので、単に普通の学校生活を描写するだけでも、独自の面白さを醸し出されると思うんだけど、敢えてもっと面白くなる要素を足してきて、ワクワクさが加速した感じ。
 設定を活かした面白隠し玉はまだまだありそう。
 エロ作品ではない。
読了日:06月12日 著者:天秤☆矢口
https://bookmeter.com/books/12890588

■地球最後のゾンビ -NIGHT WITH THE LIVING DEAD- (電撃文庫)
 ご都合優先な展開も多く、子供の頃にゾンビ世界に飲まれ、勉強の機会の少なかった17歳のわりに、雑学知識が豊富且つ、精神的に大人すぎたり。
 映画ならこんな展開もある感じではあるけど。
 感染したのに、腐らず意識を保った少女と出会った少年が、旅をする。
 ゾンビ物が好きで、実はわたしもこんな話を考えていた。
 韻を踏んだ描写や、ゾンビゲームやゾンビ映画を匂わせた演出など、細かなニヤリを忍ばせてくれるのは嬉しい。
 伏線が最後にしっかり回収されるんだけど、その辺りも演出過多で、感動も薄れちゃうかなと・・・。
読了日:06月14日 著者:鳩見 すた
https://bookmeter.com/books/12850760

■はたらく魔王さま!SP (電撃文庫)
 SPってことで外伝的な長編。
 外伝枠「0」と「SP」の区別はよくわからない。
 0にも長編あるしね。0は正伝の時間軸で回想するながれではあるかな。
 今作は5巻と6巻の合間の話であり、映像化したときの特典の小説を文庫用に直したものらしい。
 最近、エンテ・イスラ寄りの話が多く、日常庶民派の流れが希薄だったけれど、今作は長野で農業するという異界離れした「はたらく」作品。
 ただ「はたらく魔王さま!」史を頭に浮かべ、当時の設定で読まねばならないのは多少大変。
 魔王と勇者の関係とかも5巻終了時なわけだし。
読了日:06月15日 著者:和ヶ原 聡司
https://bookmeter.com/books/12849599

■カンナ 天満の葬列 (講談社文庫)
 歴史の謎と殺人事件をいっぺんに解決するシリーズではあるが、今巻は普通の殺人事件はお休みで、主人公たちそのものが襲われる形。
 その流れで、やっぱり歴史の謎も解き明かされる。
 物語も大詰めになり、本筋そのもので引っ張る流れになってきた感じ。
 ここまで読み進めているファンなら、却って殺人事件とかない方がしっくりくる気もする。
 ・・・なので、今巻だけとか今巻からとかではなくシリーズ通して読んで欲しい。
 欲を言えば、「QED」「毒草師」なども齧っておくとより楽しめる。
 ・・・読んでないと変な部分も。
読了日:06月16日 著者:高田 崇史
https://bookmeter.com/books/8044029

■縫製人間ヌイグルマー (角川文庫)
 映画版を先に鑑賞済み。
 大槻ケンヂ作品自体は初期の頃のを数冊読んでいる。
 小説好きのタレントさんが初めて書いたごった煮感覚の小説のよう。
 いろんな要素を詰め込み詰め込み。
 誰が主人公かもよくわからない流れでご都合なんだかもよくわからない感じ。
 映画版は、ここからエッセンスを抽出して再構築させたのね。
 全く違うといえば全然別物だし、基本同じものと思えば同じようにも読める…不思議な感覚。
 所謂変身ヒーローものではなかった。
 話は上手に短くまとめられない。
 ゾンビと戦うぬいぐるみの話。
読了日:06月17日 著者:大槻 ケンヂ
https://bookmeter.com/books/632655

■彼氏・オブ・ザ・デッド (ビーズログ文庫アリス)
 幼い頃結婚の約束をし離れ離れになったボーイフレンドが、帰ってきたらゾンビだった話。
 勿論コメディ。
 ゾンビたちをまとめる王としてコミュニケーション可能なゾンビな立ち位置が面白い。
 主人公の女子高生とのドタバタラブコメ。
 各章のタイトルがゾンビ映画などのパロディになっていたり、著者がゾンビ作品に造詣深そうで、ゾンビファンも安心して読める。
 一見軽そうに見えて、奥の深い設定もありそう。
 個性豊かな友人たちの活躍も少ないまま終わり続編を期待させるが、発売から1年半経ってるが、まだ出ていない気配。
読了日:06月19日 著者:西台 もか
https://bookmeter.com/books/7898330

■罪人よやすらかに眠れ (角川文庫)
 好きな作家の帯に「館」なんて書いてあるので、そっち方面に期待したが、所謂「館モノ」ではなかった。
 ミステリファンに「館モノ」を連想させてからのひっかけなのかもしれないが…。
 業を背負った人間がが舞い込む屋敷の中で、謎が説かれる流れ。
 日常の謎のような文法で、非日常である犯罪や人死にについて語られる。
 やや短めの話が詰め込まれ、メインの謎が明かされれば、残された謎は分かるでしょ?的な書かれ方も嫌いじゃない。
 あまり続編を書かない作家ではあるが、続編が匂わされたラストは興味深い。
 4話が好き。
読了日:06月22日 著者:石持 浅海
https://bookmeter.com/books/12792892

■ひげを剃る。そして女子高生を拾う。2 (角川スニーカー文庫)
 家出女子高生と同居というAVかエロ漫画の様なシチュエーションからエロを抜いたドラマ的掌編連作2巻目。
 21世紀のゆとり小説。
 特に問題も起きず、起きても後腐れなく解決する。
 古い世代の作家的には「つまらないからやってはいけない」と言われてきた手法を、恐らく敢えて用いてきた感じ。
 適度な刺激はありつつ、ストレスのない作風は、現代の社会に適した流れなのかなと感じた。
 物語的には、もっと滅茶苦茶ドロドロの展開もアリだと思うんだけどね。
 この作品は、このまま全員いい人で進んでもいいのかもしれない。
読了日:06月26日 著者:しめさば
https://bookmeter.com/books/12871804

■このセカイで私だけが歌ってる (電撃文庫)
 ゾンビ物を探していて評判がよかった一冊。
 このタイトルではゾンビ物と判じがたく損しているなと思わないでもない。
 特に内容に直結したタイトルでもない気もするし、なんでこんなにしたんだろう出版当時流行の書式だったのかな。
 感染系ゾンビが溢れ人類絶滅一歩手前ほ経て復興しつつある社会が舞台。
 ゾンビを恐れる民衆、ゾンビハンター、ゾンビありきの政策しか取れなくなった為政者の絡む、近未来SF型。
 短編連作的に様々な視点から描かれる。
 続編も期待したいところだけど、発売から一年以上たって難しいかな。
 
読了日:06月27日 著者:土橋 真二郎
https://bookmeter.com/books/11230097


▼読書メーター
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 ゾンビ映画の場合、取りあえずゾンビ出しとけば、ホラーっぽくなるってんで、ただゾンビが出てくるだけの作品も多い。
 …っていうか、B級系でいえばホトンドソンナカンジカシラ。
 ただ、小説でゾンビを出す場合、作者がゾンビ作品の愛好家であることが多いように感じる。
 定番を押さえ、そこここにオマージュを散りばめ、ゾンビ物の面白さを伝えるために、ルールを伝え、考え・・・成功したり失敗したりする。
 映画なんかだと、相手がゾンビなんだから、死体見たら動くと思えよ、首切っとけよ!と思うシーンで、絶対放置するけれど、小説ならまず首を斬る。
 ちゃんとゾンビ物の消化不良点をしっかり消化してくれるのが、ゾンビ好き作者の作品の安心感。
 や。まぁだから、本職のホラー作家がゾンビを出す場合、立ち位置的にホラー映画のゾンビに近い動きをしそうで、外れを引きそうな予感がするのよね。

 ・・・って事で、思ったほど冊数はけなかったので7月もゾンビ増量で回す予定。

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